みなさまこんにちは。看護師の佐々木です。
まずは、この度の東日本大震災で被害を受けられた多くの方々に、お見舞いを申し上げます。ここ2カ月、震災に関連したつぶやきが続いておりますが、私も震災時クリニックで仕事をしていたひとりとして、その時を振り返り、つぶやいてみたいと思います。


3月11日、午後2時46分、今までに経験した中で最も大きく、そして長い長い地震におそわれました。あんなにもまったく揺れの収まる気配のない地震は人生初めてでした。やっと揺れが落ち着いた後、クリニック内にいた患者様を誘導し、スタッフもそのまま全員ビルの外へと避難しました。外はとても寒かったです。そのうち雪がちらちらと舞いはじめ、私たち看護師は半袖の白衣姿でしたから、寒さはかなりきつかったです。幸い、患者様にもスタッフにもけが人はなく、当クリニックが入っているビル、及びその周辺もざっと見たところ大きな損傷もなさそうでまずは少し落ち着くことができました。しかしその後見てみれば、壁が大きく崩れているビルあり、道路がボコボコになっている箇所ありで、地震の爪痕をすぐさま感じることになりました。

その後、その日の診療再開の見通しが立たなかったため、患者様たちにご帰宅いただき、私たちはクリニック内に戻り、片づけ作業等をした後、何人かのスタッフはそのままクリニックに残り、夜を越すことになりました。電気の消えた受付前のフロアで、懐中電灯の明かりを灯しながら、ラジオをつけ、残ったスタッフ達と語り合い過ごしました。幸いにもクリニックは断水せず、エアコンが切れても暖かい状態が保たれていたので、あの状況下、恵まれた環境で過ごすことができました。そしてやはり、ひとりじゃない、仲間がいるというのはとても心強いものでした。

次の日は昼間、来院される患者様への対応をしたり、今後のことを考え、夜は同じくクリニック内で、数人のスタッフで持ち寄った食料を分け、懐中電灯の明かりの中で過ごしてました。停電は今思えばその日の夜に復旧したのですが、そうだったかしらと思うくらい、幾晩も過ごしたように感じられます。クリニック内の電気がパアッと灯り、明るくなった瞬間、その場にいたスタッフみんなが飛び上がり、大きな歓声をあげたものです。明るいっていうのがこんなにもテンションを上げてくれるものかと思うくらい、みんなとてもはしゃぎました。その後、ご自宅にいた京野先生がクリニックにやってきました。先生は早速復旧した電気でお米を炊き、奥様の握ったおにぎりを持ってきてくれたのです。あの時のおにぎりの味、白いご飯ってこんなにもおいしいんだな~とスタッフみんな喜んでいただきました。

その後当院は電子カルテ等の診療システムを復旧させ、比較的早期の診療再開となりました。ただ交通事情の関係から、出勤できるスタッフには限りがあり、連日の勤務になってしまったり、それぞれの自宅は停電、断水が続く中での出勤や、実家の被災といった状況もあり、スタッフも精一杯の状況があったことも否めません。そんな中、京野先生は、連日奥様手作りのおにぎりをたくさん持って出勤してきてくれました。またスタッフも協力し合って休みを取れるようシフトを組みなおしたり、診療に当たるスタッフと食料の買い出しにあたるスタッフを分け、買った食料を分けあい、ライフラインの復旧している地域のスタッフが調理して持ってきてくれたり、自宅のシャワーを貸してくれたりといったこともありました。早期の診療再開の裏側では、システムの復旧だけでなく、スタッフのこのような協力体制もあったのです。大変な時期ではありましたが、このようにして乗り切れたこと、当院にとって大きな力になったかと思います。

最近は以前のように予約もいっぱいになってきて、多くの患者様が治療を再開しております。先月のつぶやきにもありました通り、当院ではお預かりしていた受精卵が地震によって影響を受けることはありませんでした。すでに多くの方がこれらの受精卵を使用して治療を行っています。そして無事妊娠され、当院をご卒業となっている患者様もおられます。患者様やご家族にとってはもちろんですが、私たちにとっても何よりの喜びです。復興に向けて少しずつ歩み出した中、赤ちゃんは明るい未来への希望です。たくさんの方々に希望が訪れてくれることを願っています。

看護師 佐々木佳奈子