はじめましてこんにちは。培養士の伊藤です!


今回は、皆様にはあまりよく知られていない培養士の日常をご紹介させていただきます。

私たちの仕事は朝の8時から始まります。私服から白衣に着替え、帽子、マスクを着用し、培養室に向かいます。私たちが一日の大半を過ごす培養室では、患者様からお預かりしている大事な受精卵を培養しているので、できる限りクリーンに、外からの塵、埃は持ち込まないように気をつけています。
培養室で最初に行うことは、受精卵を培養しているインキュベーターと呼ばれる箱の温度、ガスの計測です。受精卵にとって、光や空気にさらされることは大変なストレスとなります。そこで、ヒトの卵管の環境に似せたインキュベーター内で受精卵を培養し、受精卵のストレスを最小限にとどめています。

8時半からは採卵が始まります。培養室は手術室と繋がっており、採卵時は手術室で医師が採取した卵胞液を培養室に渡し、培養士が顕微鏡下で卵を探します。見つかった卵は直ちにインキュベーターの中に入れられ、3~5時間培養されます。

この培養中に受精卵の凍結や、胚移植を行う予定の凍結胚の融解、孵化補助術を行います。

精液処理室と呼ばれる部屋では、採卵と同時にご主人様の精液の状態を検査し、調整という操作に入ります。精液中の精子は全てが運動しているとは限らず、停止しているものや、形が歪なものなど様々です。そこで調整という操作を行い、運動していて形が良好な精子のみを回収します。


 この回収作業が終わると、いよいよ受精させる操作に入ります。受精させる操作には「通常の体外受精」と「顕微授精」の2種類が有ります。「通常の体外受精」とは、卵と精子を同じ入れ物の中に入れて受精させる方法です。入れ物の中で運動精子が卵子に向かって泳ぎ、一つの精子が卵子に入り受精が成立します。「顕微授精」とは、顕微鏡下で一つの精子を一つの卵に直接注入する方法です。

 お昼休憩を挟んで、午後は受精卵を子宮に戻す胚移植を行います。培養士が患者様に直接受精卵の状態を詳しくお話させていただき、子宮に戻す胚を決定します。戻す受精卵が決まると、患者様に手術室にお入りいただき、実際にその受精卵を子宮に戻します。胚移植をした受精卵が子宮に着床できれば、妊娠成立となるのです。

 胚移植終了後は、精液検査や翌日の準備やトレーニング、室内の清掃をして、培養室での作業は終了になります。しかし、これで仕事が終わったわけではなく、培養室を閉めた後は情報処理室と呼ばれるパソコンのある部屋へ移動し、臨床のデータ入力や、学会発表の準備を行ってやっと一日の業務が終了します。

 培養士が一日どんなことをしているのか、なんとなくわかっていただけたでしょうか?このように私たちは一日の大半を培養室で過ごしているため、患者様とお会いできる機会が少ないのですが、1人でも多くの患者様が妊娠できるように培養室スタッフが一丸となって業務に取り組んでいます。

 ちなみに私は入職してまだ2年目で、現在は胚移植と採卵のトレーニング真最中です。一日でも早くトレーニングを卒業し、臨床に入って皆様のお役に立てることを目標にこれからもがんばります!

培養部 伊藤友美子