婦人科の土信田です。


当院は、1995年7月に宮城県古川市(当時;現 宮城県大崎市)に開院してもうすぐ15年、2007年3月に仙台に移転してちょうど3周年を迎えます。移転・開院以来、ご来院いただいた患者さんも6500余となりました。いつもご来院いただいている方、ホームページをご愛読いただいている方に感謝申し上げます。

このコーナーは毎月1回末日までに私が、「つぶやき」データを担当スタッフから受け取り、アップロードするようにしており、月末が近づくと、「早く書いてくださいね」などと催促してしまうのですが、いざ自分が書く段になると、下書きだけは8000字以上になったのに、どうもまとまらず、締め切りから10日以上過ぎてしまいました。世の中には用意周到に物事を運べる計画的な人と、直前にならないとやる気が沸かない人といますが、私はどうやら後者のようです。これ以上遅くなると、秘書の○○さんに、「先生まだ書いていないんですか?」と叱られてしまいますので、急いで書き上げるぞ!(笑)



さて、今日は少し話を大きくして、日本の医療費の仕組みについてつぶやいてみたいと思います。

まず健康保険は、大きく分けて「組合管掌健康保険」「全国健康保険協会管掌健康保険(旧:政府管掌健康保険)」「共済組合」「国民健康保険」などがあります。

社員が700人以上いるなど一定の基準を満たした大企業などですと独自の健康保険組合を持ち、保険料はやや高めのこともありますが、健康診断や人間ドックの補助など独自のきめ細かいサービスが可能です。保険料は、給料の○%という形で徴収されますが、保険料率も健康保険組合が独自に設定できます(多くの場合、全国健康保険協会管掌健康保険よりも保険料率が低い)。

共済組合も、自治体が独自に保険料を設定しています。

一方、全国健康保険協会管掌健康保険は保険料率は都道府県ごと一律で、給料の○%という形は組合管掌健康保険と同じです。ちなみに、京野アートクリニックは、職員が50名程度ですので、当院のスタッフは全国健康保険協会 宮城支部に加入しています。

国民健康保険は少し算出方法は違いますが、所得に応じた保険料となっている点では同じです。

日本国民は、いずれにしても健康保険に加入することが義務付けられており、所得に応じた保険料を毎月支払うかわりに、自己負担額は30%でよく、残りの70%は健康保険組合から医療機関に支払われるという仕組みになっているのです。



さて、ところで、よく予算の時期になると、テレビ特集で、「日本の医療費は・・・」とか、「社会保障費は・・・」ということを聞くと思います。自己負担30%の残りの70%は健康保険組合が負担するはずなのに、なぜ、予算審議で医療費の話が出てくるのでしょうか。

実は、組合管掌健康保険は、独自に保険料率を決められるので、収支によって保険料率やサービスの内容を変えるなどして、独立採算で運営しています。大企業が中心の組合管掌健康保険では高額所得者も多く、保険料率そのものは低くても、1人あたりが支払っており保険料の金額そのものはそれなりの金額となっており、なんとか独立採算でやっていくことができます。

一方、全国健康保険協会管掌健康保険や国民健康保険は中小企業や自営業者が多いため、組合管掌健康保険と比べて高額所得者が少ないため、保険料率が同じだったとしても1人あたりが支払っている保険料の金額そのものは低くなります。実際には保険料率が組合管掌健康保険より多少高めに設定されてはいるのですが、それでも不足する分に対して、公的補助が投入されます。また、共済組合には、支持母体が国か地方かによって、それぞれ国あるいは地方から補助が出ることになります。このように、独立採算でやっていける組合には自助努力を促しつつ、必要な場所には補助を出すといったメリハリの効いた仕組みは他国には真似できない、日本の誇れる保険の真髄となっているのです。

以上まとめると、実際にかかる国民医療費(国民が治療費のために使うお金)は年間約34兆円で、このうち患者窓口負担が4.8兆円(14%)、毎月の保険料が16.8兆円(49%)[労使折半]、国からの補助が8.4兆円(25%)、地方からの補助が4.1兆円(12%)となっています。(患者窓口負担が30%でないのは、1ヶ月の間に保険診療で一定額以上の支払いがあると、大幅な補助がおりること、乳児、老人医療、難病の方などは窓口負担が少ない(あるいは、ない)ことが要因です。また、この金額には、自費の不妊治療・歯科治療や健康診断、人間ドックなどは含まれません) 医療費の公的補助が12.5兆円というと、高いなという印象をお持ちになるかも知れませんが、国内総生産(GDP)に対する医療費の割合は、先進諸国の中で日本は最安水準となっています。

このように、日本の医療は、コストは世界で最も安い水準であり、平均寿命が世界一であることからも世界最高水準の良質な医療を提供していることになり、実際に負担した保険料が異なっても平等かつ優れた医療サービスを受けられるようになっている点と、皆保険制度であり收入が高い人が保険を脱退できないようになっている点も含め、世界的にも非常に高い評価を受けています。たとえば、カナダの非営利調査機関「コンファレンス・ボード・オブ・カナダ」が、先進国の医療制度ランキングを発表し、今年のランキングは日本は16カ国中で1位に、世界保健機構(WHO)の「健康達成度」調査(2000年)でも、平均寿命や費用負担の公平性などから日本は世界1位と評価されています。

よく、「医療はサービス業か」ということが話題になりますが、果たしてどうでしょうか。日本の保険診療においては、実際に患者さんが負担しているのは、窓口負担分+保険料の半額=40%未満であり、残りの半分程度は企業等と補助金で賄われているので、さまざまな制約を受けますから、少なくとも保険診療分に関しては、医療は純粋なサービス業とは少し違う、ということになると私は思います。

これだけの不況の中で、保険料率のアップも難しく、国や地方の財政も厳しい中で医療費への補助の増額は難しい状況で、がん等の先進医療や難病の方など、もっともっと医療費が必要なのに十分な補助が受けられていない方も多数いる中、不妊治療に保険適応がどれだけ拡大になるのかは不透明な部分もありますが、少子化の時代でもあり、検査、注射、診察などの保険適応の範囲が拡大してくるとよいですね。

 

婦人科 土信田