婦人科の土信田です。今日は少しテーマは大きいのですが、妊娠とストレスについて語ってみたいと思います。

通常、結婚しているカップルが子供を望めば、1年以内に80%が、2年以内に90%が妊娠すると言われています。約10組に1組が不妊で悩んでおり、日本で不妊治療を受けている夫婦は、約50万組とも200万組とも言われています。

妊娠を希望するのだがなかなか妊娠しない、と婦人科を初診すると、まずは色々な検査が行われます。ホルモン検査、子宮卵管造影、卵胞チェック、フーナー検査、排卵確認と黄体期検査、男性は精液検査があります。そこで何か原因が見つかれば原因に応じた治療を、原因がはっきりしない場合は、タイミング法から少しずつステップアップしていくことになります。数ヶ月くらいで妊娠していただけるとよいのですが、半年、1年、あるいはそれ以上かかってしまうことも少なくなく、時を経るごとに色々なストレスにさらされていくことになります。

ストレスが原因で月経不順となってしまうこともありますし、できるだけストレスのない毎日を送ることはとても大切なことです。では、ストレスをためないためにはどうしたらよいのでしょうか。 ストレスをためないためには、まず、あまり自分であれこれ考えすぎないことが大切です。

「考えれば考えるほどプラス思考になる」という人はあまりいないわけで、たいがいは、考えれば考えるほどマイナスのことばかりを考えてしまいます。マイナス思考を毎日上書きしていくサイクルに入ってしまうと、先の見えない不安がふくらんできてしまいます。この状態は非常につらいと思います。 

一人で家にいると色々と考えてしまう場合は、ジムに通ってみる、趣味に没頭してみる、仕事をしていない方であればパートの仕事を始めてみる、ボランティア活動を始めてみるなど、少し世界を広げてみるとよいと思います。実際には次の治療で妊娠するかも知れないわけですし、うまくいかなかったら、その時に考えればいい、と割り切って、あまり深く考えないようにすることも時には重要です。少し長い目で治療を捉えてもよいかもしれません。

次に、不妊に関する知識をもう少し持ってみましょう。

中には、詳しすぎるくらい詳しい方もいるのですが、妊娠について、不妊について、本当にほとんど何も知らない患者さんも少なくありません。知らないことは不安につながり、不安は恐怖を生みます。もっと、不妊について、生まれてくる赤ちゃんについて、知ってください。

当院では、2種類(一般不妊、体外受精)のセミナーも無料で実施していますし、待合室で解説DVDも流しています。また、たまごクラブなどの雑誌や、不妊解説書なども分かりやすいものが本屋さんに行けばたくさん売っています。何でもよいので、まずは一通りの知識は身に付けてみましょう。もちろん、説明で分からないことがあれば、1つ1つ説明しますので、担当医に何なりとご質問ください。知る手段はたくさんあります。自分の状態、行っている治療などについて、正確に理解することはとても大切なことだと思います。

あなたには自分のどんな気持ちもさらけ出して相談できる、信頼できる友、医師、医療スタッフはいますか?自分が不妊クリニックに通っているということを、何人の友達が知っていますか?わざわざ多くの人に言うようなことではないかも知れませんが、自分の気持ちをためこまず、誰かに話して分かってもらうということはとても大切なことです。これをカタルシスといいます。当院には医師6人とカウンセラーが常勤しています。私たちは、皆さんが色々な思いで通院されていることをよく知っていますから、思ったことがあれば、何でもお話しください。

がんばりすぎると疲れてしまいます。治療に対しては私たちがしっかり考えますので、あまりがんばりすぎないで、少し肩の力を抜いてみましょう。休みすぎはよくありませんが、2~3ヶ月治療を休んでみることも、時には大切です(でも急に来なくなると心配なので、できれば担当医に相談してください)。妊娠したあとのことを色々と想像してみることもよいかも知れません。プラスの考えは幸せを呼ぶと思います。

そして、最大の心のケア、それは1日も早く妊娠することです。もちろん、医学には限界もありますが、1日でも早く妊娠していただけるように、私たちは日々努力しています。

やまない雨はない、明けない夜はない、いつかきっと良き日がやってきます。その日が来ることを信じて、いっしょにがんばりましょう。
 

婦人科医師 土信田